乙女は今日も夢を見る

観月くんへの申し訳無さから、シュンと肩を落とす私。

「メモね…。じゃあ、私も探すの手伝うよ。一人より二人のほうが早いでしょ」

少し考え込みつつ、如月さんがそんな提案をしてくれた。

「え!でも、悪いよ」

有り難い申し出だけど、私の失敗だし如月さんにまで迷惑をかけられない。

そう思い、断ったのだが…。

「いいの、いいの!私、今日特に予定なくてあとは帰るだけだしさ。さ、とりあえず美術室の中見てみようよ…メモだしさ、案外、ゴミ箱とかに間違って捨てられちゃってるかもだよ?」

スタスタと、美術室のゴミ箱まで歩み寄ったかと思うと中を覗き込み、ガサガサと調べ始めたのだ。

「…あ、如月さんゴミ箱は…」

実はゴミ箱の中は1番可能性が高い思って、最初にくまなく探した所。

ほとんど引っくり返す勢いで探したけど結局見つからなかったんだよね。

だから私は「そこにはたぶんないよ」と言葉を続けようと口を開いた。

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