乙女は今日も夢を見る

正門前でこれ以上女子からの注目を浴びるのは遠慮したい…。

そう思い、早足で私は咲人を連れ、おもちのいる校舎の裏庭へと足を進めたのだった。

そう言えば…観月くんは、時間見て裏庭に行くって言ってたっけ?

咲人に伝えておこうと、くるりと後ろを振り返り声をかけようとした時、私は彼の顔を見てギョッとする。

「ねぇ…咲人、この前連絡してた…って、え!?どうしたの…なんか顔真っ赤だけど…ゴメン、急がせすぎた??」

そう、なぜか咲人の頬や耳は暑さのせいか赤く染まっていたのだ。

「…大丈夫。何でもない。それより、悠理裏庭ってまだか?」

フィッと、横を向き顔を合わせてくれない咲人。

しかもあからさまに話題を変えようとしている。

そんな彼を不思議に思いながらも、私は「もうちょっとだよ。先生になるべく見つからないように行くから」と返答した。

まぁ、咲人が大丈夫っていうのならあんまり気にしないでおこう…。

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