乙女は今日も夢を見る

そうだ。私、男の子を助けて…怪我して…。

その時、ハッとした。

『お母さん…!私が助けた子は大丈夫だったの!?』

そう、私が助けたあの男の子はどうなったのか。

私の記憶にある限り怪我とかはなさそうだったけど…。

『…ふぅ。悠理が助けた男の子はちょっとした擦り傷で済んだみたいよ?』

『そっか。よかった…』

母親のその言葉にホッと胸を撫で下ろした。

『全くもう、人助けは立派だけど後先考えず飛び出すのはやめてちょうだい…心配したのよ』

『あはは、ごめんなさい』

苦笑いで謝る私が母親を見ると、ジロリと睨まれてしまう始末。

まぁ、とりあえずお互い無事だったわけだし、よかったな…。

しかし、そう思った数十分後。

『右腕の骨折、腕、足の擦過傷…まぁ、全治1ヶ月ってことろですね。腕は手術が必要なので、しばらくは入院してもらいます。幸い頭を打ってなかったので良かったですけど一歩間違えれば大変なことになってましたよ』

主治医の放ったそんな説明に、私はどん底に突き落とされていた。

全治1ヶ月…手術、入院…。

『え?私の高校生活は…?』

『しばらく無理ですね。手術ですが…』

当たり前のように言われたそのひと言で、他の説明は頭に入ってこなくなる。

早くて1ヶ月って…入学式にも出れてないのに…。

今後の高校生ライフが危ぶまれ、私は盛大に肩を落としたのだった――。
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