乙女は今日も夢を見る

そう呟いて、スッとしゃがみ込んだ咲人は、おもちに向かって手を差し出す。

「ニャア〜」

私の足元を通り過ぎ、差し出された手にスリスリと寄ってくるおもち。

本当に愛嬌抜群な猫だ。

自分が可愛いと言うことがわかっていての行動なのだろう。

「かわいいな…」

そんなおもちの人懐っこい様子に、咲人も嬉しそうに目を細めていた。

「よかったね〜、咲人。おもちに気に入らたみたいだよ」

フフッと微笑んだ私がそう声をかけると「まぁな」と満更でもない様子の咲人は、おもちのを撫でる。

「あ、ほら花鈴に見せるための写真撮るんでしょ?こっちにベンチあるからそこまで行こう」

「そうだった。花鈴もこんなかわいい猫って知ったら今度は速攻来るだろうな」

「確かにね」

< 81 / 230 >

この作品をシェア

pagetop