乙女は今日も夢を見る
そう呟いて、スッとしゃがみ込んだ咲人は、おもちに向かって手を差し出す。
「ニャア〜」
私の足元を通り過ぎ、差し出された手にスリスリと寄ってくるおもち。
本当に愛嬌抜群な猫だ。
自分が可愛いと言うことがわかっていての行動なのだろう。
「かわいいな…」
そんなおもちの人懐っこい様子に、咲人も嬉しそうに目を細めていた。
「よかったね〜、咲人。おもちに気に入らたみたいだよ」
フフッと微笑んだ私がそう声をかけると「まぁな」と満更でもない様子の咲人は、おもちのを撫でる。
「あ、ほら花鈴に見せるための写真撮るんでしょ?こっちにベンチあるからそこまで行こう」
「そうだった。花鈴もこんなかわいい猫って知ったら今度は速攻来るだろうな」
「確かにね」