乙女は今日も夢を見る

「えぇ…!めっちゃ可愛いじゃん。次いつ行く!?」と目をキラキラさせる花鈴の姿が簡単に想像でき、私達はお互いに顔を見合わせて笑い合った。

その後しばらく、おもちと戯れていた咲人。

私はそんな彼と一匹の様子をベンチに座り眺めていたが、数分もすると咲人は、満足したのか私が腰掛けるベンチの隣に座ってきた。

「もうすぐ夏休みだな」

「そうだね〜。咲人の高校は勉強忙しいんじゃない?なんてったって県内1の進学校だし」

「補習に引っかからなきゃ大丈夫だろ」

「う…。補習か…私も引っかからないように気をつけないと」

咲人の発言に私はハァ…とため息をこぼす。

なんせ、他の人より1ヶ月勉強が遅れていたのだ。

学校に復帰してからは、授業に追いつくのに必死で毎日のように質問するために、職員室へ通っていたことを思い出す。

「悠理はなんだかんだ真面目だし、大丈夫だろ?どっちかと言えば花鈴の方が補習引っかかりそうだ」

「あぁ…。それは否定できないかも」

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