乙女は今日も夢を見る
「……」
「……」
え…何この空気…。
なぜか、観月くんも咲人もお互い見つめ合ったまま言葉を出さない。
しかも…なんというか…微妙にピリッとしたような空気まで感じるのは気のせいだろうか。
あ!もしかして初対面で気まずい…とか?
でも、咲人はともかく、普段は誰に対してもフレンドリーな観月くんにしては珍しいような…。
私はどうしたものかと2人を交互に見つめ、思案していると。
「はじめまして。観月くんだっけ?俺は大谷咲人。君の話は悠理からよく聞いてるよ。よろしく」
フッとよそ行きの笑顔で微笑んで先に声をかけたのは意外にも咲人の方だった。
「…大谷くん、ね。俺は観月彼方。高梨さんとは同じクラス。よろしく」
観月くんもそんな咲人につられてか、笑顔で言葉を返す。
お互い自己紹介も済み、先ほどまでのピリッとした空気も若干和らいだところで、
「実はね、もう一人花鈴って子も来る予定だったんだけど急に用事ができて来られなくなって…それで、おもちの写真だけでも送ってほしいってことで咲人と写真撮ってたんだ」
と、私が事の経緯を簡単に説明をする。