乙女は今日も夢を見る
「そっか…じゃあ、大谷くんと他に女の子の友達も来る予定だったんだね」
少しホッとしたような表情を浮かべた観月くんに私はコクリと頷いた。
「うん。そうなの。花鈴にも観月くんのこと話してたし会えないの残念そうだったよ。中学時代は、ここにいる咲人と花鈴って子とよく一緒に行動してたんだ〜…あれ?でも畠中くんの姿が見えないけど…」
「…あ、ちょっとアイツも用事できたみたいでさ。今日は来れないって…」
「そうだったんだ。畠中くんも花鈴も残念だったね…って、あ!観月くんおもちが拗ねちゃってるよ。さっきから構ってほしいのに無視しちゃってるから…」
私は観月くんの足元にちょこんと座っているおもちに目を向けた。
可愛いアピールを無視されて、機嫌が悪いのかジトッとした視線を観月くんに送っているおもちに私はクスッと笑みをこぼす。
「うわっ…、ゴメン。ほら、おもちー、お前の好きな猫缶持ってきたからな〜」
慌ててしゃがみ込み、観月くんが猫缶を開けてあげると「ニャア〜♪」と急に甘えたような高い声で鳴くものだから、おもちの変わり身の速さに感心してしまった。