乙女は今日も夢を見る

そんな疑問が頭の中で飛び交う私をよそに。

「え、彼女?いないよー。それを言うなら大谷くんの方じゃない?顔も超カッコいいし、その制服って駅近くの進学校だよね?頭も良いし、めちゃくちゃモテそうだけど」

「いや、俺なんか全然だよ。てか、彼女いないんだ。意外だなー…、何で?」

「何でって言われても…。てか、俺なんかより大谷くんの方が彼女いないのが不思議だって」

と、そんな会話を進めていく。

お互い褒め合ってはいるものの、傍から見ればまだ全然他人行儀な2人のやり取りに私はハラハラしていた。

特に、咲人があまりにズケズケと観月くんに言うものだからこっちが焦ってしまう。

「ちょっと…!咲人ってば観月くん困ってるでしょ!変な質問急にしだすのやめてよ」

我慢できず、私は隣に座る咲人を嗜めた。

親しき仲にも礼儀ありなんてことわざもあるが、咲人と観月くんはまだ出会って数十分。

私だってその手の質問を観月くんにしたことはないというのに。
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