乙女は今日も夢を見る
「観月くん、本当に咲人が失礼なことばっかり…」
「いやいや、高梨さんが謝ることじゃないし…!それに俺的にはむしろ大谷くんが話してかけてくれて嬉しいし」
…!!
なんて出来た人間なんだ。
初対面で、プライベートな質問をぶつけられたら私は、そんなポジティブな思考にならないだろう。
「…観月くんって本当に良い人だよね。そういう考え方私も見習わないと」
「そう…かな?高梨さんにそう言ってもらえて嬉しいよ」
私の言葉に少し照れたように微笑む観月くん。
本当に良い人だなぁ。
そう思って私もつられて微笑んだ時。
「まぁ、恋愛においては良い人止まりで終わっちゃいそうなタイプだよね」
ピシッ。
またもや和やかな空気を一刀両断するような発言をする咲人に私は、口角が引きつるのを感じた。
何がそんなに気に食わないのかわからないがこれ以上、咲人をこの場に置いておくと何を言い出すかわかったものじゃない。
花鈴と約束したおもちの写真も十分に撮れたし、今日のところは早めに切り上げた方が良さそうだ。