乙女は今日も夢を見る
「そっか。観月くん、他校の友達も多そうだもんね〜」
顔が広い彼に1人感心する私。
すると。
「ほら。悠理帰るんでしょ?バス、次のもうすぐ来るよ。それに観月くんも駐輪場に自転車取りに行かないとじゃない?」
スマホで時間を確認した咲人は私の肩を軽く叩いた後、観月くんに対してそう声をかけた。
「うん、じゃあ自転車取りに行くよ。高梨さんは、また明日学校で!…大谷くんも今日は会えてよかった…」
「俺も観月くんに会えてよかったよ」
間髪入れず観月くんの言葉に返答する咲人は、今日一番の柔らかい笑みをこぼす。
その光景を見て、なんだかんだあったけど、最後には咲人も打ち解けられたのかと嬉しく感じたのだった――。