乙女は今日も夢を見る
パタパタと、駆け足で職員室に続く廊下を進んでいると前方に見知った姿を発見した私は、思わず声をかける。
「あ、畠中くん!お疲れ様。部活生は練習も忙しいのに文化祭の準備まで大変だね」
「高梨お疲れ。いや〜やっぱりこの時期の練習はキツいわ、マジで外地獄の暑さ。教室はクーラー効いてて天国だし、どっちかつーと、準備してる方が休めるよ」
そう言って、元気に笑う畠中くんは午前中サッカー部の練習、午後は文化祭の準備となかなかのハードスケジュールをこなしているのだ。
「文化祭準備は任意だし、無理しないでね?」
「あぁ。サンキュ…っと、そう言えば教室に観月いた?」
観月くん…?そう言えばさっきから姿が見えないような…。
朝、お互いに挨拶を交わしてから、私も観月くんも学級委員ということでクラスメイトから次々と声をかけられ続け、正直話す暇もないくらい忙しかった。
「たぶん、色々皆に頼まれてたから校内の何処かにはいると思うけど…私もさっきから姿見てないかも」