乙女は今日も夢を見る

「そっか。さっきからメッセージ送ってんだけど、既読にならなくてさ。まぁ、学級委員だし忙しいんならしょうがないか…。高梨、教えてくれてありがと。じゃ、また教室でな」

うーんと一瞬考え込んだ畠中くんだったが次の瞬間にはケロッとした様子で私にそう言い残すと小さく手を振り、教室に向かって歩いていく。 

「うん、あとでね」

そんな彼の姿を見送り、私も元々の用事がある職員室へと急いだのだった――。


*****

「失礼しまーす」

ガラッと職員室の扉を開く私。

しかし。

「あれ…先生誰もいないじゃん」

職員室の中には誰もおらずシンと静まり返っていた。

元々夏休みということもあり、出てくる先生が少ないのと部活の顧問をしている先生達は部活の方にも顔を出しているからタイミングが悪かったのだろう。

どうしよう。
この前、セロハンテープとか取りに来た時に先生が出してくれた場所把握してるからどこにあるかはわかるけど…。

職員室の奥にある備品室のダンボールの中におそらくテープ類が保管されているようだ。けど、果たして勝手に持って行っていいのだろうか。
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