悲劇のヒロインぶるなと言われましたので
その瞬間は、あまりにも唐突に訪れた。
「栞奈……!?」
目の前の御令嬢が目を見開く。
眩い金の髪、鮮やかな青色の瞳の持ち主だというのに、彼女が発した言葉は明らかにこの十六年間慣れ親しんできたものとは違う。
だけどそれは、間違いなくかつての私の名前だった。
懐かしい――――けれど、ちっとも嬉しいとは思わない再会。感情が表に出ないよう、私は静かに目を瞑る。
「間違いないわ。あんた、栞奈でしょう!」
令嬢――――と呼ぶには値しない口調で、少女が叫ぶ。喜んでいるのか、はたまた怒っているのか。よくわからない表情を浮かべている。
(まさか、こんな所でレイラに再会するなんてね)
再会、という表現が正しいのかは分からない。だって、この姿で彼女に会うのは初めてなんだもの。
もっと言えば、自分に『前世』なんてものがあるってことを思い出したのが、今からほんの数秒前。戸惑うなっていう方が無理がある。
「栞奈……!?」
目の前の御令嬢が目を見開く。
眩い金の髪、鮮やかな青色の瞳の持ち主だというのに、彼女が発した言葉は明らかにこの十六年間慣れ親しんできたものとは違う。
だけどそれは、間違いなくかつての私の名前だった。
懐かしい――――けれど、ちっとも嬉しいとは思わない再会。感情が表に出ないよう、私は静かに目を瞑る。
「間違いないわ。あんた、栞奈でしょう!」
令嬢――――と呼ぶには値しない口調で、少女が叫ぶ。喜んでいるのか、はたまた怒っているのか。よくわからない表情を浮かべている。
(まさか、こんな所でレイラに再会するなんてね)
再会、という表現が正しいのかは分からない。だって、この姿で彼女に会うのは初めてなんだもの。
もっと言えば、自分に『前世』なんてものがあるってことを思い出したのが、今からほんの数秒前。戸惑うなっていう方が無理がある。
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