悲劇のヒロインぶるなと言われましたので
「まさか、入学初日に仕事をさせる羽目になるなんて、夢にも思わなかったな」
護衛達を振り返りつつ、ユージーンが苦笑する。私も一緒になって笑った。
「ごめんなさい、ユージーン。あなたが一緒に居る時に、あんな風に言い掛かりを付けられるなんて」
「カンナは何も悪くないよ。しかし、どこの御令嬢だろう? あんな無礼を働くなんて。カンナは知ってる? 君の名前を呼んでいたように思うけど」
「いいえ。全く存じ上げない方です」
知らない。知りたくない。
出来ることなら、彼女の全てを忘れてしまいたい。
レイラと私は、前世で同じ学校に通う同級生だった。
美人で明るく裕福で、クラスの人気者だったレイラ。
入学当初は放課後一緒に出掛けたり、互いの家に泊まるほど、私達は仲が良かった。
だけど、ある日を境にレイラは変わった。
私のことを視界に収めず、声も掛けない。それどころか、声を掛けてもシカトするし、他のクラスメイトを引き連れて陰口を叩く。
ちょうどその頃から、私の教科書や筆箱、上靴に、財布やカバンまでもが隠されるようになった。
護衛達を振り返りつつ、ユージーンが苦笑する。私も一緒になって笑った。
「ごめんなさい、ユージーン。あなたが一緒に居る時に、あんな風に言い掛かりを付けられるなんて」
「カンナは何も悪くないよ。しかし、どこの御令嬢だろう? あんな無礼を働くなんて。カンナは知ってる? 君の名前を呼んでいたように思うけど」
「いいえ。全く存じ上げない方です」
知らない。知りたくない。
出来ることなら、彼女の全てを忘れてしまいたい。
レイラと私は、前世で同じ学校に通う同級生だった。
美人で明るく裕福で、クラスの人気者だったレイラ。
入学当初は放課後一緒に出掛けたり、互いの家に泊まるほど、私達は仲が良かった。
だけど、ある日を境にレイラは変わった。
私のことを視界に収めず、声も掛けない。それどころか、声を掛けてもシカトするし、他のクラスメイトを引き連れて陰口を叩く。
ちょうどその頃から、私の教科書や筆箱、上靴に、財布やカバンまでもが隠されるようになった。