捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 それから目的の魔物を討伐しながら木材も集めていく。採取した素材は収納ポーチに入れていった。この魔道具は見た目に反してかなりの量が入るようになっている便利なものだ。
 アレスの強さは私の想像以上だった。ほぼ一撃でどんな魔物も沈めていく。フォローしようかと身構えていたけど必要なさそうだったので、素材採取に専念した。アレスがサクサク魔物を倒してくれるおかげで、素材集めは順調に進んでいた。

「うわああああっ!!」

 突然聞こえてきた男性の悲鳴に、アレスと顔を見合わせる。

「アレス」
「承知しました」

 私の呼びかけにアレスがすぐに声の主の元へとむかった。
 視界に飛び込んできたのは、三つの頭を持つ魔物ケルベロスだった。男性はボロボロの状態で今にも食べられそうになっている。

「私がケルベロスの気をそらせるわ! あとはお願い!」
「お任せください」

 私は魔銃を構えて魔力を込める。ケルベロスは災害級の魔物だけど、アレスの強さなら問題ないだろう。全力で放った魔弾はケルベロスの首元にヒットした。その衝撃で私に剥き出しの敵意を放ってくる。
 でも次の瞬間、魔物の敵意なんて可愛く感じるほどくらいの絶対零度の殺気がケルベロスを襲った。

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