捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「……アレスのお父様は竜王様なの!?」
「はい、竜王という要職に就いております。ちなみに私が専属執事でいることは王命でございます」

 要職って! 要職ってそういうことだったの!? しかも王命で専属執事を続けているの!?

 しれっと軽く流すアレスにあえて言わなかったのだと確信した。もしこの事実を知っていたら、この国の王子様を専属執事にはしておけない。強制的に魔法契約も解除していた。だけど王命なら今度は余程の理由がなければ解除できない。

 アレスに上手いことやられたわ……!!

 でもこれで初めてラクテウスに来たときの、街の人たちの歓迎っぷりにようやく納得する。
 この国の王子なら番を見つけて帰って来たとなれば、それはおめでたいことだ。今頃になってパズルのピースがはまっていくみたいに、さまざまな事に合点がいく。

「それで僕の依頼は受けてくれるかな?」

 竜王様の言葉に返答に詰まってしまう。

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