捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
18話 専属執事のご褒美
「もうひとりの王子、カイルの番が一ヶ月前から行方不明なんだ。今はまだ事件と確定していないので情報は伏せてある」
サラッと言い放ったけど、王子妃の失踪はそれこそ国中の騎士から場合によっては辺境伯まで巻き込んでの大捜索になるくらいの大事件だ。
「それで番を探す魔道具なのですね」
「だけど自分の番なら居場所くらいわかるだろう?」
「どうやら魔力が封じられているらしく気配を探れないんだ。カイルは今も番であるジュリアを探し回っていて、いつ暴走してしまうかわからない状態だ」
竜人の基礎知識が足りない私にアレスが補足の説明をしてくれる。
番の契りを交わした相手なら、身体が変化して魔力を使えば居場所くらいは感知できるようになるそうだ。
しかし強力な結界や魔道具で魔力を封じられてしまうと気配を追えなくなり、番を求める本能が暴走して敵とみなしたものをすべて滅ぼしてしまうという。たとえ帝国の様な大国であっても焼け野原にしてしまうほどの激情が渦巻くそうだ。