捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 番を探す魔道具という依頼だったけど、状況からするにカイル様の番であるジュリア様を探しだせれば解決するということだ。
 それならば人探しの魔道具という事になる。番という縛りがないなら、なんとかなるかもしれない。

 まずは協力するといった竜王様の言葉を最大限に使わせてもらうことにした。すでに受けていた受注は人手を寄越してもらい早々に仕上げて、新規の依頼はしばらくお断りするとお知らせを張りだす。

 受注分の納品が終わるころ、竜王様の計らいで王城に魔道具開発の設備の整った専用研究室を用意してくれた。状況的に時間の猶予もなさそうなので、お店はしばらく休みにしてアレスと一緒に王城に移ることにした。

 魔道具作成用のシャツとパンツに着替えて、開発の際は膝丈の白衣を羽織る。細かい薬品の調合や魔石の加工があるから、この格好が定番となった。
 私がこんな淑女らしくない格好でも、竜王様をはじめ他の竜人たちは興味深そうに見るだけで決して揶揄ったりしなかった。竜人という種族は本当におおらかで、それが嬉しかった。

 念のため人探しの魔道具でも問題ないか確認したところ、ジュリア様が見つかれば何でもいいとのことだったので、その方向で設計を考えはじめる。
 前に鉱脈を探す魔道具の開発をしたことがあったので、それを改良できないかと考えた。

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