捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
19話 こなせない政務(ウィルバート視点)
* * *
ロザリアが王城を去ってから一ヶ月後に、アステル王国内外にボクが離縁したことを発表した。各国の王子たちから本当に事実なのかと確認の手紙が何通も来ていたが、面倒だったので放っておいている。
しかし離縁してから半年近く経つのに公にはボニータとの婚約はまだ周知しておらず、正式な場では連れて歩くことができないままだった。
「ボニータと婚約したことも発表すればよいのに、なぜ母上は反対されているのだ?」
「そうですね……考えられるのはファンク男爵の件が影響しているのではないでしょうか?」
「あれか……」
ハルクの言葉に忌まわしい記憶がよみがえる。
二週間前のことだが、せっかくボクが魔道具研究所の指導者に推薦したのにファンク男爵が失脚したのだ。ボニータの父親だからと拾い上げたのに、派手に顔に泥を塗られて肩身の狭い思いをした。
「あれがなければスムーズに事が運んだな。足を引っ張られた」
「ええ、本当にやられましたね。こうなったらボニータ様にも王太子妃としての役目を早々に任せていくしかないでしょう。実績を作って認めてもらうほかありません」
「うん、そうしよう。まずは簡単な仕事から戻していこう」
ロザリアが王城を去ってから一ヶ月後に、アステル王国内外にボクが離縁したことを発表した。各国の王子たちから本当に事実なのかと確認の手紙が何通も来ていたが、面倒だったので放っておいている。
しかし離縁してから半年近く経つのに公にはボニータとの婚約はまだ周知しておらず、正式な場では連れて歩くことができないままだった。
「ボニータと婚約したことも発表すればよいのに、なぜ母上は反対されているのだ?」
「そうですね……考えられるのはファンク男爵の件が影響しているのではないでしょうか?」
「あれか……」
ハルクの言葉に忌まわしい記憶がよみがえる。
二週間前のことだが、せっかくボクが魔道具研究所の指導者に推薦したのにファンク男爵が失脚したのだ。ボニータの父親だからと拾い上げたのに、派手に顔に泥を塗られて肩身の狭い思いをした。
「あれがなければスムーズに事が運んだな。足を引っ張られた」
「ええ、本当にやられましたね。こうなったらボニータ様にも王太子妃としての役目を早々に任せていくしかないでしょう。実績を作って認めてもらうほかありません」
「うん、そうしよう。まずは簡単な仕事から戻していこう」