捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「貴女がロザリアね? 私はサライア、竜王様の妻よ」

 その優しげな微笑みがアレスとよく似ていた。まるで騎士のような格好だが、それがまたよく似合っていて思わずポーッとしてしまう。
 我に返って慌てて淑女の礼をとった。

「はっ、ご挨拶が遅れました、ロザリア・スレイドと申します。お初にお目にかかり恐悦至極に存じます」
「えっ、僕のときよりものすごく丁寧なんだけど!?」
「まさかお嬢様が母上に心奪われるとは……」

 連れのふたりが何やら落ち込んでいるけど、気にしていたら話が進まない。先程のカイル様の様子から一刻も早くジュリア様を見つけた方がよさそうなのでスルーした。

「ふふっ、可愛らしい方ね。私の方こそカイルを抑えるのに付きっきりでごめんなさいね。こんな形だけれど会えて嬉しいわ」

 そこでダメージから回復したカイル様が会話に割り込んでくる。サライア様は微笑みから一転、凍りつくような視線を起き上がったカイル様にむけた。

「っ、母上っ! いきなり蹴り飛ばさないでくれっ!」
「その前に己の言動を振り返りなさい。この娘はアレスの番よ。死にたいのかしら?」
「あっ……いや、その……あー、ダメだ。余裕なさすぎて、申し訳ない」

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