捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

21話 あの時とは違う


 魔石板を操作して青く光る点に向かって最短距離(・・・・)を突き進む。先頭を行くのは私とアレスだ。

 その後ろにカイル様がいて、さらに竜王様とサライア様が万が一の暴走を止めるために続いている。
 私が魔道具を操作してアレスに指示を出しながら帝都の街を直線的に走り抜けた。道なき道を移動するので、当然のようにアレスにお姫様抱っこされている。
 アップダウンの激しいコースを寿命が縮まる思いでアレスにしがみついていた。

「お嬢様、何があっても支えますから安心してください」
「わ、わかってる! でもっ! 刺激が強くてっ!」
「では私の首にしっかりと腕をまわしていただけますか?」
「そ! そんなっ!」

 アップダウンはいいのだ。問題はそこではない。
 アレスが近すぎてジュリア様を助ける前に、私が天に召されてしまいそうなのだ。

 真剣な横顔も、ふと私に視線を向けて微笑むのも、すべてが私を沸騰させる要素になっている。ラクテウスに来たときも同じように抱えられたけど、あのときとはまったく違うのだ。


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