捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 アレスが転移してほんの二、三分後に屋敷から爆発音が聞こえてきた。三階部分の窓ガラスがすべて割れて、屋敷から商人の格好した者たちが飛び出してくる。遅れて使用人がパラパラと逃げ出していた。
 それでも強固な三重の結界に阻まれて屋敷の周囲から離れられないので、竜王様はさらに小さな結界を張って保護していく。

「これで屋敷の人たちは大丈夫かな。あ、カイルが派手に暴れはじめたね」

 その時、屋敷の右側が轟音とともに吹き飛んだ。計り知れない竜人のパワーに絶対に怒らせないようにと心に誓う。そのタイミングでアレスが転移魔法で戻ってきた。
 

「ただいま戻りました。お嬢様、変わりありませんか?」
「アレス、おかえりなさい。私は大丈夫だけど、屋敷が悲惨なことになってるわ」
「ああ、まだ理性が残ってますね。おそらくジュリア様が見つかったのでしょう。もうそろそろ終わるはずです」

 あれで、理性が残っているの……? そうね、きっと理性を失ったら国ごと滅ぼしてしまうものね。



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