捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「お前、ボクがエスコートするとわかっていてそれなのか? 歩き方も優雅さがない。教育係は何をやっているんだ」

 ウィルバート殿下のエスコートは歩くのが早くて、ヒールを履いた足では引きずられるようになってしまうので急いだ結果だった。

「さっきの受け答えは何だ!? ボクを馬鹿にしているのか!? お前と公爵だけで小難しい話をして、あの場はボクを立てるべきだろう!」

 魔道具の取引があり事情もよく知る公爵様から想定外の使用についての質問を受けたので、開発者である私が返答したものだった。

 ウィルバート殿下に会うといつも何かしらダメ出しをされてる。もともと自信のない見た目だったから余計に心を抉られた。
 地味な私では申し訳ないと自分なりに頑張ってはみたけれど、何をやっても裏目に出るばかりだった。

 婚約をして一年が経つ頃には「お前の声は耳障りだ」と言われたので、挨拶をしたあとは私から声をかけられなくなってしまった。




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