捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 父上の一喝で我に返り取り乱しそうになるのをなんとか堪えた。このままではボニータは処刑されてしまう。それならハルクとゴードンは? 彼らはなぜ捕らえられたのだ?

「ハルクとゴードンはどうして……」
「あの女はあなたの側近とも関係を持っていたのよ! 本当に汚らわしいわ!!」

 鈍器で殴られたような衝撃に、目の前が真っ暗になる。
 不敬罪……主人の女と隠れて関係を持ったから、だから適用されたのか。不義密通としなかったのはボクの名誉のためか、王族の外聞が悪くなるからか? いつから? いつからボクは裏切り者たちに囲まれていたんだ?

「よいか! ファンク男爵家は王族を乗っ取ろうとした逆賊だ!! 取りつぶしの上公開処刑に処す!! 一族もろとも根絶やしだ!!」

 父上の絶叫に近い断罪は、思考を拒否したボクの頭には入ってこなかった。



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