捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 途中で一度休憩を挟んで、散らかった書類を片付けながら使えそうなものがないか目を通していく。そろそろ夕食かというタイミングでブレスがやってきた。

「ロザリア様。お客様が……ウィルバート殿下がご来訪されてます」
「えっ!? ウィルバート殿下!?」
「左様でございます。只今は応接室にお通ししております」
「本当にウィルバート殿下?」
「はい、間違いございません」
「もしかしたらソックリさんとか……」
「ではございません」

 ウィルバート殿下はスレイド伯爵家は田舎の領地でつまらないと来たことがなかったので、聞き間違いではないかと何度もブレスに尋ねてしまった。
 誰かを寄越すかもしれないとは思ったけど、まさか本人が来るとは思っていなくて動揺してしまう。しかも私がこの屋敷に戻ってきてからまだ半日程度だ。見張りをつけられていて、転移の魔道具を使ってやってきたのだろう。

「私宛なのね。わかったわ、今行きます」

 よっぽど私を捕まえたいみたいね。城から追い出すのでは足りなかったということかしら?

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