捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「何を馬鹿なことを言ってるんだ。せっかく僕の元に戻ってこられたんだから、そんな物騒なことを言わないでくれ」
「本気です。約束してください」
「わかった……わかったから、約束する。準備が整い次第、君の両親は釈放しよう」

 本当は魔法誓約をしたいところだけど、私の行動に制限がかかるのは避けたいので納得したふりをする。するとウィルバート殿下が、私にプレゼントがあると縦長のジュエリーケースを出してきた。

「これは王家の秘宝なんだ。ボクの気持ちが本物である証としてロザリアに送るよ」
「このような贈り物は不要ですわ」
「頼むから受け取ってくれ。今までと違うとわかってほしいんだ」

 そう言って無理やり私にネックレスをつけてきた。ゴテゴテとした装飾の多い趣味に合わないものだったから、ウィルバート殿下がいなくなったらすぐに外そうと思う。

「今後こういうものは必要ありません。どうか私には今までのように構わないでください」
「それはできない。ボクはロザリアが大切なんだ、これからはちゃんと気持ちを示すと決めたんだ」
「お願いですから放っておいてください」
「素直じゃないな。まあ、いい。これから時間はたっぷりある。では政務に戻るよ。また後で」

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