捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 その言葉を最後にようやくウィルバート殿下は部屋から出ていった。
 すぐにネックレスを外そうと金具に手をかける。でもどんなに力を入れても金具は固まったまま動かなかった。

「どうして外れないの……? 王家の秘宝と言っていたし壊れているわけないわよね?」

 ひとりでネックレスと格闘していると「伝え忘れてた」とウィルバート殿下が戻ってきた。

「そのネックレスだけど、この王城から出られなくする魔道具でもあるんだ。そしてボクでないとネックレスは外せない。それくらいロザリアが必要なんだ。わかってくれるだろう?」

 悪寒が走るような笑顔を浮かべて、ウィルバート殿下が近づいてくる。金具にかけていた私の手をそっと外して耳元で囁いた。

「逃げ出すことなんてできないから無駄な抵抗はしない方がいい」

 そうして私はまた檻の中に囚われたのだった。



< 168 / 239 >

この作品をシェア

pagetop