捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

27話 あなたに会いたい


 アステル王国に連れ去られてから一週間が過ぎた。
 私はただ王太子妃の部屋でウィルバート殿下に世話をされる日々を過ごしている。今日も流行りの菓子を取り寄せたとお茶の用意をしてくれていた。

「そうだ、ロザリア。君がボクの妃になった暁にはスレイド伯爵を侯爵に引き上げよう。もう間も無く準備も整うから、楽しみだな」
「……父の件はお気遣いなく」
「何を言っている、妻の父上なら当然の権利だ。それよりも。そろそろ以前のように気を許してくれないか?」

 以前も何もウィルバート殿下に気を許したことなどないのだけど。それすらもわからないのかしら? そもそもまともに会話しているのも、ここに来てからのことだわ。
 きっと都合のいいように記憶を改変しているのね。おめでたいことだわ。

「過ぎた身分は身を滅します。陞爵(しょうしゃく)の件は結構です。それよりも早く父と母を釈放してください」
「お前は……本当に素直ではないな! ボクがこれだけ尽くしているのに、まだわからないのか!?」
「……甲斐甲斐しくお世話していただきありがとうございます」
「そうではないっ!!」

 ガチャンと大きな音を立ててカップを置いて、睨みつけるような視線を私に向けてフルフルと震えている。

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