捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
影を落とす瞳はいつもの能天気な父上のものではなかった。二百年前のこととはいえずっと苦しんできたのがわかる。父上の言葉にはそれだけの重みがあった。
「いいんだ。これも親の務めさ。失ったものは二度と戻らないからね。お前たちには間違ってほしくない。それに土下座したくはないだろう?」
「ははっ、確かに。まあ、お嬢様がそれで笑顔になるなら、いくらでも土下座するけどな」
「まったく……どうしようもないね。僕も同じだけど」
最後の締めが父上らしいと笑いながらも、俺が同じ失敗をしないように止めてくれたことに心が温かくなる。後悔と悲しみが浮かぶ父上の瞳は遥か遠くを見ていた。
母上たちから連絡があり、いよいよ明日ロザリアたちを助け出す段取りがついた。決行時刻は夜明けと共にだ。俺が迎えに行ったら、ロザリアはどんな顔をするだろう? のん気にもそんなことを考えていた。
「あ、なんか王太子の雰囲気がヤバい」
「……まさかとは思うが」
急に馬鹿王子の空気が変わって、ロザリアを乱暴に扱いはじめた。無理やり立たせて引きずるように隣の部屋に連れて行く。隣の部屋、つまり寝室だ。
「いいんだ。これも親の務めさ。失ったものは二度と戻らないからね。お前たちには間違ってほしくない。それに土下座したくはないだろう?」
「ははっ、確かに。まあ、お嬢様がそれで笑顔になるなら、いくらでも土下座するけどな」
「まったく……どうしようもないね。僕も同じだけど」
最後の締めが父上らしいと笑いながらも、俺が同じ失敗をしないように止めてくれたことに心が温かくなる。後悔と悲しみが浮かぶ父上の瞳は遥か遠くを見ていた。
母上たちから連絡があり、いよいよ明日ロザリアたちを助け出す段取りがついた。決行時刻は夜明けと共にだ。俺が迎えに行ったら、ロザリアはどんな顔をするだろう? のん気にもそんなことを考えていた。
「あ、なんか王太子の雰囲気がヤバい」
「……まさかとは思うが」
急に馬鹿王子の空気が変わって、ロザリアを乱暴に扱いはじめた。無理やり立たせて引きずるように隣の部屋に連れて行く。隣の部屋、つまり寝室だ。