捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

31話 決別のとき


「それでは私との決闘を受けてくださいませ」
「は? 何を言っているのだ?」

 ウィルバート殿下は意味がわからないと、私を見上げている。
 先程の様子からおかしな方向に理解をされていて、説明から必要かとため息をついた。

「まさか……ただウィルバート殿下を回復させたとお思いですか?」
「なっ、なに!? 違うのか!?」

 本気で驚いている様子に、むしろこちらが驚いた。こんなに考えが足りない人が王太子をやっていたとは、末恐ろしい。いやでも考えが足りないからこそ、あのような行動を取り続けていたのかと納得する。

「当然でござましょう? 私と決闘してくださいませ。私が勝ったら魔法誓約で約束していただきたいことがございます」
「なんだと! お前が勝つだと!? ボクを馬鹿にしているのか!!」

 まるで私が勝つと思っていないウィルバート殿下に、若干私の表情が抜け落ちる。チラリとアレスを見れば『バカにしてるも何もバカだろ?』と顔に書いてあった。
 私と同じことを考えていたアレスにふっと笑みがこぼれる。

< 199 / 239 >

この作品をシェア

pagetop