捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 ガタガタと煩いので完膚なきまでに叩きのめそうと、魔銃を右足のホルダーへ戻す。
 ゆったりと両手を下げて、手のひらに魔力を集めた。魔道具の開発では試用品に魔力を通して何度も何度も実験を繰り返す。幼い頃から繰り返し鍛えてきた私の魔力と魔法を舐めないでもらいたい。

 ウィルバート殿下は身体の前に手を突き出して、火炎属性の魔法を放ってきた。容赦のない一撃だったが、私にしてみれば素材の加工時に使う火炎魔法と変わらない。
 左手に水魔法を展開させて打ち消した。そのまま右手を振り上げて水の砲弾をウィルバート殿下に放つ。肩や腹部に当たった衝撃で、後ろに倒れてしまった。

「クソッ、何故だ!?」
「何故私に勝てないか、本当にわからないのですか?」
「ボクは王族だ! 王族は優れた能力を持つ血統なのだ! 負けるはずがない!」

 すでにウィルバート殿下が一番得意な火炎魔法は防いだし、私にはまだ魔銃もあるわ。この状況で血統だけで本当に勝てると思っているのかしら?

「では聞きますが、魔法はどれほど習得されましたの?」
「何を……すべて終わっている!」

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