捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「新王クライブ・リオ・アステルは今このときから竜人の国ラクテウスに無条件で従うことをここに誓います」
「へえ、つまり我が国の属国になるということか?」
「はい、王太子アレス様の番であり、この国に多大な貢献してくださったロザリア様に対する非道な行いをこのような寛大な処置で許していただいたのです。これ以上のことができず心苦しいくらいでございます。尚、父と母、兄に関しては責任持って私が処分いたします」
「ああ、君なら問題なさそうだね。よろしく頼むよ」


 その後、元国王陛下と元王妃は罪を犯した王族が収容される地下牢へ幽閉となり、クライブ国王から毒杯を賜った。ウィルバートは意識が戻った後、ロザリアや彼女の大切な人たちと今後一切の接触をしないと魔法契約を結び、廃嫡のうえ国外追放となった。

 ウィルバートの行方はその後不明となっている。
 何も持たない温室育ちの王子が、市井で生き残れるのはどれほどの確率か考えるまでもない。今度は奪われる立場となり、最後は一欠片のパンを奪い合って凶刃に倒れた事実は、誰にも知られることなく闇に埋れていった。



 こうして私たちはひとまずスレイド伯爵家に戻ることにした。
 愛しいアレスと共に、大切な人たちがいる場所へと、やっと戻ることができたのだった。
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