捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 どうやら決着がついたようだ。
 珍しく竜王様がまともなことを言っているように感じるのは気のせいか。何より私がアレスのプロポーズを受けたと何故わかったのか。多少疑問に思うものの、竜王様だからわかることがあるのかと納得する。
 このやりとりの間、サライア様とお母様が穏やかに私が新しく開発した魔道具について意見交換をしていた。

 部屋の準備が整うまで、応接室でその報告をすることになった。ジュリア様は庭の花々が気になるようだったので、セシリオに案内を頼んでカイル様と散歩を楽しんでもらっている。
 お客様用の上質なソファーにテーブルを囲むように腰を下ろした。メイドが用意したお茶に口をつけて本題に入る。

「スレイド伯爵様、やっとお嬢様が私の妻になると頷いてくださいました。この場でお嬢様を幸せにすると、竜の血に誓ってお約束いたします」
「そうか……ついにか……」

 お父様が寂しげな笑顔で私とアレスを見つめている。どこか懐かしむような眼差しが私の涙腺を刺激した。
 お父様もお母様も私のことをとても大切にしてくれている。たっぷりの愛情をかけて貰えたから、今までやってこられたのだ。

「お父様、お母様、今までありがとうございます。私こそアレスを世界一幸せにしてみせますわ」

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