捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 竜人をものともしない父の怒りは凄まじく、私の恥ずかしさなど一瞬で霧散する。竜王様は口を一文字に結び、アレスは青くなっている。なかなか目にすることのない貴重な場面だけど、このままにしておけない。

「お父様、私はこれでも一度離縁しているの。まるっきり未婚の令嬢ではないわ。その辺りはご理解いただいてもいいと思うのだけど?」
「それでも夫婦でもない男女が、そのようないかがわしいことをするべきではない!!」
「いかがわしい……? その言い方、引くわ」
「いやっ、待ってくれ、ロザリア! 私はただお前が心配で——」
「あなたそれ以上食い下がったらロザリアに嫌われますわよ?」
「ぐぬっ……!」

 お母様がお父様にとどめを刺してくれた。見事な一撃だ、見習おう。

「お見苦しいところをお見せしましたわ。ロザリアの神秘的な瞳がさらに綺麗になっていたから、ちょっと気になっただけですの。他にも竜人の方特有の習慣などございますの?」
「そうですね……竜人は人間で言うところの十二歳程度の見た目で一度成長が止まります。その後は番を見つけると再度成長期に入って大人の姿になるのです」
「そうでしたの! ああ、だからアレスはロザリアに会ってから大きくなったのね。実は成長速度が速すぎると思っていましたのよ」
「他にもこんなことがありまして……」

< 217 / 239 >

この作品をシェア

pagetop