捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「はあ、わかったわ。それならアレスは王太子だし結婚式は挙げるのよね?」
「私たちは番さえいれば特にこだわりがないので、その辺りはみんな伴侶に合わせています。結婚式を挙げない夫婦もたくさんおります。お嬢様はどうしたいですか?」

 アレスの質問に少しだけ考えた。
 正直いうと結婚式にいい思い出はないし、なくてもいいかという気持ちもある。でもふたりの新しい門出だからちゃんとした形でケジメをつけたい。

「そうね……ねえ、アレス。少し我儘かもしれないけど、聞いてくれるかしら?」
「もちろんです。私はお嬢様の望みを叶えるために存在するのですから」

 そんなくすぐったい台詞を聞いて、私たちの門出にふさわしいセレモニーの相談をしたのだった。
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