捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
翌朝はいつも通りひとりで起きて、アレスが来るのを待っていた。さすがに彼には事実を話しておかないと不便が多いだろう。
いつもより遅くやってきたアレスに昨夜の出来事を正直に話した。
「だからウィルバート様の話しぶりからすると、しばらくは今まで通りで構わないわ」
すべてを聞き終えたアレスは静かに怒りを湛えている。私のために心を動かしてくれる彼にほんのりと心が温かくなる。そうやっていつだって私に寄り添ってくれた。
ひとつ残念なのは王太子妃になったからと、前のように『お嬢様』と呼んでくれなくなったことだ。アレスだけがそう呼んでくれていた、その呼び方が好きだった。
「ロザリア様、いくらなんでもこの仕打ちはあんまりです。ロザリア様が望むなら、私はいくらでも手を尽くして……」
「ありがとう、アレス。でもいいの。こうなるのではないかと思っていたのよ。でも先にボニータに子ができてしまったら世継ぎの問題で国が揺らぎかねないわね……」
ウィルバート様の婚約者になるときに、大切な人たちのためにこの身を捧げる覚悟はしていた。私の想像とは違ったけど、それでも受け入れるしかない。
だけど昨夜ウィルバート様が去ってホッとしている部分もあった。正直なところウィルバート様に触れられるというのが想像できない。どこか他人事のように感じていた。
いつもより遅くやってきたアレスに昨夜の出来事を正直に話した。
「だからウィルバート様の話しぶりからすると、しばらくは今まで通りで構わないわ」
すべてを聞き終えたアレスは静かに怒りを湛えている。私のために心を動かしてくれる彼にほんのりと心が温かくなる。そうやっていつだって私に寄り添ってくれた。
ひとつ残念なのは王太子妃になったからと、前のように『お嬢様』と呼んでくれなくなったことだ。アレスだけがそう呼んでくれていた、その呼び方が好きだった。
「ロザリア様、いくらなんでもこの仕打ちはあんまりです。ロザリア様が望むなら、私はいくらでも手を尽くして……」
「ありがとう、アレス。でもいいの。こうなるのではないかと思っていたのよ。でも先にボニータに子ができてしまったら世継ぎの問題で国が揺らぎかねないわね……」
ウィルバート様の婚約者になるときに、大切な人たちのためにこの身を捧げる覚悟はしていた。私の想像とは違ったけど、それでも受け入れるしかない。
だけど昨夜ウィルバート様が去ってホッとしている部分もあった。正直なところウィルバート様に触れられるというのが想像できない。どこか他人事のように感じていた。