捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
34話 番は愛を誓う
突き抜けるような青空の下、私はアレスとふたりレッドカーペットの上を歩いてゆく。
両サイドには竜王様や両親をはじめ、私の大切な人たちが並んで見守ってくれていた。
時折吹く風にフワリとベールが揺れる。真っ白でシンプルなドレスは飾り気がないけど、極上の布を使ったので日の光を受けてパールのような光の粒を振りまいている。
私が望んだ結婚式は、私の人生を変えた場所で行いたいというものだった。
初めて竜人の国ラクテウスの地を踏んだ場所。傷ついてボロボロだった私が、ようやく希望を抱いて一歩を踏み出した場所。
やがてたどり着いた先はアレスの転移魔法で飛んできた広場の片隅だ。あの時と同じように眼下には雲海が広がり、まるで空に浮かんでいるような錯覚を覚える。
ラクテウスの外壁の大門からまっすぐに歩んだ道は、アレスの一途な想いにも似ていた。一歩進むごとにアレスとの思い出が浮かび上がり、一歩進むごとにアレスの愛を噛み締めた。