捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
ただただアレスを愛してる。他には何もいらない。これからもずっと彼の側にいられれば、それだけでいい。
狂気にも似た激しい感情が自分の中で渦巻いてるのがわかる。これが番を想う竜人の愛。
番の契りを交わして初めて理解した。こんな感情を抱えながらずっと支えてくれた、その事実に本当のアレスの愛の深さを知る。
だからこそ私が愛を誓うのは、王様でも神父様でも神様でもない。
愛しいアレス、あなたにその愛を誓うわ。
添えていた手をそっと離して、ふたりで向き合う。
「私、アレス・レヴィ・ラクテウスはロザリア・スレイドを伴侶とし貴女だけに愛を捧げると誓います」
そう言ってアレスは私の指先にキスをする。
「私、ロザリア・スレイドはアレス・レヴィ・ラクテウスを伴侶とし貴方に身も心も捧げると誓います」
私もアレスの指先に愛を込めてキスをする。
互いに交わす誓いの言葉は青空に溶けていった。
少しだけ膝を折れば、私の顔を覆っていたベールはアレスによって取り払われる。
太陽の光を受けて黒から深い青へと輝く艶髪と夜空のような瞳が、優しく私を見下ろしていた。そっと瞳を閉じればアレスの柔らかな唇が落ちてくる。