捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
35話 ふたりだけの蜜月
「ロザリア」
「ん……アレス……おはよ……う」
アレスの声に意識が覚醒して、もう朝なんだとぼんやりと思う。昨夜も何時まで意識があったのかわからない。毎夜毎夜アレスに何度も愛されて、気絶するように眠りに落ちる。
まだ重だるい身体を起こす気になれなくて、ぐずぐずしていた。
「眠そうなロザリアも可愛い」
後ろから耳元で囁かれて、そのまま優しく甘噛みしてくる。素肌の背中に触れるアレスの逞しい胸板は少しずつ熱を帯びてきていた。ゾクゾクと駆け上がる感覚がなんなのか、今の私ならわかってる。このまま身を委ねたら、たくさん愛されて次に起きるのはきっと夕方だ。
結婚式から今日までの一週間で理解した。ここで流されたらまたベッドから出られなくなる。そう考えたらバッチリ目が覚めた。
「はっ! アレス、おはよう! 今日もいい天気ね!」
「おはよう、朝食を食べたあとロザリアを食べたい。ダメなら今すぐロザリアを食べたい」
待って、どちらかと言うと食べるのは朝食よね!?
「あの、まずは朝食をいただきたいわ」
「わかった、ロザリアのために美味しいのを用意してくる。待ってて」