捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「ようやくロザリアが俺のものになったんだ」
「あ……そうね、待たせてしまってごめんなさい」
「いや、いいんだ。でも……」

 こんなに歯切れの悪いアレスなんて初めてかもしれない。いつも明瞭でハッキリとものを伝えるのに。

「俺がロザリアを独り占めしていたい。蜜月のあいだは俺だけのロザリアでいて?」

 なに……なんなの! こんな可愛いアレスなんて反則じゃない!?
 不安気に夜空の瞳を揺らして独占欲をむき出しにしてくるなんて! しかもここにきてお願い? あのアレスが私にお願いしてるわっ!!

 私にだけ見せてくれる、少し甘えるような態度はキュンキュンと音がしそうなほど胸を締め付ける。そんな貴重なアレスにノーと言えるわけがない。

「わ、わかったわ。蜜月のあいだはアレスだけの私でいるわ」

 言ってから気づいたけど、私は番なんだしいつでもアレスだけのものじゃないのかしら?
 独り占めって……どういう意味かしら?

< 231 / 239 >

この作品をシェア

pagetop