捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 アレスの夜空の瞳がスッと細められる。
 きっとアレスには私の心なんてお見通しなのだろう。だけどアレスに触れたいなんて、恥ずかしくて口にできない。アレスが私の側に来て耳元でそっと囁く。

「俺はロザリアに触れたい」

 ズルい。アレスはズルい。
 こんな風に不意打ちに甘く掠れる声で名前を呼ばれたら、触れたいなんて言われたら……嫌だなんて言えない。
 だって。

「……私も、アレスに触れたい」

 そこからは互いに求め合うように貪るようなキスをしながら身体を繋げた。



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