捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
聞き間違いではなかった。
あれほど子は作らないでと約束したのに何故……それよりも魔法を使った誓約書だから書かれた約束事は必ず守らなければならない。
あの時、誓約書に書いた内容は————?
あまりのことに頭がうまく回らない私に、アレスが誓約書をそっと手渡してくれる。いつもこうして私が言わなくても尽くしてくれるけど、今回だけは素直に受け取りたくなかった。
それでも震える手で受け取った誓約書をウィルバート様が奪い取って、濃紺のベルベットに包まれた台紙を開く。
「ほら、ここを見ろ!」
ウィルバート様が指差した先に書かれていたのは。
「ボニータが懐妊したら、離縁すると書いてあるぞ! これでボクはやっとお前から解放されるのだ!」
私はもう言葉が出てこなかった。
この人は何を言っているのだろう?
解放される? 誰が? 私がいつウィルバート様を縛りつけたの?
どんなに冷たくされても、どんなに理不尽な文句を言われても、どんなに私を顧みなくても、私がウィルバート様に何かを求めたことなどこの誓約書以外は一度もなかった。
何より私は大切な人たちの安寧を守るために嫁いできたのだ。
あれほど子は作らないでと約束したのに何故……それよりも魔法を使った誓約書だから書かれた約束事は必ず守らなければならない。
あの時、誓約書に書いた内容は————?
あまりのことに頭がうまく回らない私に、アレスが誓約書をそっと手渡してくれる。いつもこうして私が言わなくても尽くしてくれるけど、今回だけは素直に受け取りたくなかった。
それでも震える手で受け取った誓約書をウィルバート様が奪い取って、濃紺のベルベットに包まれた台紙を開く。
「ほら、ここを見ろ!」
ウィルバート様が指差した先に書かれていたのは。
「ボニータが懐妊したら、離縁すると書いてあるぞ! これでボクはやっとお前から解放されるのだ!」
私はもう言葉が出てこなかった。
この人は何を言っているのだろう?
解放される? 誰が? 私がいつウィルバート様を縛りつけたの?
どんなに冷たくされても、どんなに理不尽な文句を言われても、どんなに私を顧みなくても、私がウィルバート様に何かを求めたことなどこの誓約書以外は一度もなかった。
何より私は大切な人たちの安寧を守るために嫁いできたのだ。