捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
7話 どうか幸せに
「ロザリア! 本当にロザリアかっ!?」
「ああ、ロザリア! 会いたかったわ……!」
「姉上……お元気そうでよかった……!」
私は六年ぶりにスレイド伯爵家へと戻ってきた。
慰謝料を受け取ったあと、アレスの転移魔法ですぐに王城から出てきたのだ。もうあんな所に一秒たりともいたくなかった。
先触れなど何もなくいきなり戻ってきたのに、お父様もお母様も弟のセシリオも当然のように迎え入れてくれる。
お父様とお母様は少し髪に白いものが混ざっていて、十七歳になったセシリオは利発そうな少年へと成長していた。鼻の奥がツンとしたけど、泣き方なんて何年も前に忘れたままで涙は出てこなかった。
……ひとりじゃなかったんだ。
ちゃんと私を見てくれる人がここにいたんだ。ちゃんと愛してくれる人がここにいたんだ。
アレスを見ると、いつもより優しい眼差しで見守ってくれている。それに安心してすべてを話すことを決意した。王城という名の鳥籠でどのように過ごしてきたのか。
これから私がどうするべきなのか。