捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
実情はただの魔道具オタクなのに、なぜか魔道具開発の天才少女と噂が広まり王家から婚約の打診がきてしまったのが運の尽きだ。
正直、王太子妃とか面倒くさい匂いしかしない話に魅力は感じなかった。私としては家族や領民たちが喜ぶような魔道具の開発をしていたかったのだ。
だけど王家からの打診に伯爵家が逆らえるわけもなく、家族や領民のことを考えたら頷くしかなかった。それでも父は最後まで「嫌なら断ってもいい」と言ってくれていた。それだけで十分だった。
「やっぱり断ればよかった……いやいや、今だけ頑張れば王家の名の下で魔道具の開発ができるんだし、今さら断ったら伯爵家なんてあっという間に没落……!」
ブツブツと独り言を吐き出しているが、いつものことなのでセインはまるっとスルーしている。
「ううう、こうなったら早く妃教育を終わらせて開発の時間を作るしかな——」
その時、ガタンッと大きな音を立てて馬車が止まった。セインは瞬時に身構えて腰に差した剣に手をかけている。
窓から外を覗くと、まだ王都にある伯爵家のタウンハウスに戻る途中だった。
「——っ! 〜〜い!! ……か!?」
御者であるタイラーの焦ったような大声が聞こえてくる。
「なにかあったのかしら……?」
「様子を見てきます。少々お待ちいただけますか?」
少し待っていても襲撃を受ける様子はない。わずかに聞き取れる声からどうやら怪我人がいるようだった。
正直、王太子妃とか面倒くさい匂いしかしない話に魅力は感じなかった。私としては家族や領民たちが喜ぶような魔道具の開発をしていたかったのだ。
だけど王家からの打診に伯爵家が逆らえるわけもなく、家族や領民のことを考えたら頷くしかなかった。それでも父は最後まで「嫌なら断ってもいい」と言ってくれていた。それだけで十分だった。
「やっぱり断ればよかった……いやいや、今だけ頑張れば王家の名の下で魔道具の開発ができるんだし、今さら断ったら伯爵家なんてあっという間に没落……!」
ブツブツと独り言を吐き出しているが、いつものことなのでセインはまるっとスルーしている。
「ううう、こうなったら早く妃教育を終わらせて開発の時間を作るしかな——」
その時、ガタンッと大きな音を立てて馬車が止まった。セインは瞬時に身構えて腰に差した剣に手をかけている。
窓から外を覗くと、まだ王都にある伯爵家のタウンハウスに戻る途中だった。
「——っ! 〜〜い!! ……か!?」
御者であるタイラーの焦ったような大声が聞こえてくる。
「なにかあったのかしら……?」
「様子を見てきます。少々お待ちいただけますか?」
少し待っていても襲撃を受ける様子はない。わずかに聞き取れる声からどうやら怪我人がいるようだった。