捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 ボクの腕の中で可愛らしく微笑むボニータを愛しげな瞳で見つめた。子ができてしまえば、父上と母上も許可せざるを得ないだろう。

 このボクを愛さない女など絶対に妻として認めない。なかなかいい手立てがなかったが、今回の事は以前手続のために訪れた経理部門で魔法誓約書をみたボニータが思いついた計画だ。

 何故こんな簡単なことに気が付かなかったのか、目から鱗の話だった。ロザリアが自らの策に溺れたようで、なおさら気分がよかった。
 あとはどこか伯爵家か侯爵家の養子にして妻に娶れば問題ない。ボクたちの計画は万事うまくいくはずだった。



 慰謝料を受け取ったロザリアが王城を去ったと、ボクの補佐であるハルクから報告を受けた。

「なっ……もう出て行ったのか……? ついさっき離縁したばかりだぞ!?」
「はい、慰謝料を受け取られ即座に転移魔法で移動したところを見届けました」
「っ! 何なんだ、あいつは最後に挨拶もできんのか!」

 あっさりと出て行ってしまったロザリアに苛つきながらも、戻ってきた書類仕事を片付けていく。ひと段落してボクとボニータは政務の小休憩でお茶を楽しんでいた。そこへ宰相に呼び出されたはずのハルクが執務室に駆け込んでくる。

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