捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「ウィルバート殿下、失礼いたします! 陛下が今すぐに大会議室に来るようにとの仰せです! ただちに向かってください!!」

 ハルクの顔色は青を通り越して白くなっていた。護衛を務める側近として一緒に仕えているゴードンも眉をひそめている。

「一体なんだと言うのだ? ああ、ロザリアとの離縁の件か?」
「おそらく……ただ、かなりお怒りの様子です。ボニータ様も一緒にお連れするよう申しつかっております」

 予想通りの流れに短くため息を吐く。むしろこれからが本番だ。

「わかった。ボニータ、一緒に行こう。ついでにボク達の婚約の話をまとめてこよう。結婚式の日取りも決めてしまおうか」

 ボニータに手を差し出して優しくエスコートすると、頬を紅潮させて笑顔を浮かべた。今は身体を大事にしなければいけない時期だからと、細心の注意をはらって足を進めていく。ゴードンも連れて四人で部屋をあとにした。

「ウィル様、嬉しいわ! こんなにすぐ認めてもらえるなんて、少しつわりで辛いけど……私、頑張るわ」
「ああ、だけど無理はしないように。どうしても辛ければ、すぐにボクに言うんだ」
「はい、私は本当に幸せです……」

 そう言って寄り添ってくるボニータの肩をウィルバートはそっと抱き寄せた。



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