捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 正直そこまでとは思わなかった。
 ロザリアにチリほども興味がなかったから、詳しく知ろうともしなかった。ボニータとの婚約までまとめたいのに話が悪い方へと進んでいく。だけどボクたちだって無策でこんなことはしない。

「それなら解決策があります」

 父上は厳しい視線をボクに向けた。

「なんだ、申してみよ」
「魔道具の開発ならボニータの父に任せれば問題ありません。最近では新しい魔道具がもうすぐ開発できると聞いております。爵位は高くありませんが、それでも領主としての手腕もありますので適任ではないでしょうか?」

 ボクの提案に大会議室は静まり返った。ボニータの父であるファンク男爵で本当に能力が足りるのか慎重になっているようだ。

「そうだ、この前ファンク男爵が開発された魔道具を見せたらどうだ? たしかゴードンの剣を改良していたな?」
「はい、この剣についているのが魔法効果を付与する魔道具です。柄にはめるタイプのもので、ロザリア様が開発されたものよりも火力が高く魔物の討伐の際に役にたつと思います」

 ゴードンの腰にさしていた剣を疑念が浮かぶ重鎮たちに渡す。その剣を見ていた父上も唸っていた。

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