捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
番を探すため故郷を出てから八年が経っていた。
悪い商人に騙されて俺は奴隷として売られるところだった。気がついたのは魔力封じの腕輪を付けられ檻に入れられた時だ。
もう三日も水だけで過ごしてたからフラフラだったけど、魔力は残ってたから全力で抗って転移魔法を発動させた。
なんとか逃げ出したけど、がむしゃらだったから今自分がどこにいるのかもわからない。それよりも魔力まで使い果たしたから極限状態だった。
とにかく街に行けばなんとかなる。そう思って目の前の道を歩いていた。何も考えず足を前に出すことだけに集中して、一歩一歩進んでいた。
「うわあっ! 危ない!! 待てっ!!」
焦ったような男の声と馬の鳴き声に顔を上げてみると、慄いて後ろ足で立つ芦毛の馬が視界に入った。
急に頭を上げたからかクラッとして視界が暗くなる。気がつけば倒れ込んでいて、誰かの腕の中にいるようだった。
温かい……それにすごくいい匂いだ。なんだろう胸の奥から込み上げるような、この焦燥感は————
ゆっくりと開いた視界に映ったのは。
悪い商人に騙されて俺は奴隷として売られるところだった。気がついたのは魔力封じの腕輪を付けられ檻に入れられた時だ。
もう三日も水だけで過ごしてたからフラフラだったけど、魔力は残ってたから全力で抗って転移魔法を発動させた。
なんとか逃げ出したけど、がむしゃらだったから今自分がどこにいるのかもわからない。それよりも魔力まで使い果たしたから極限状態だった。
とにかく街に行けばなんとかなる。そう思って目の前の道を歩いていた。何も考えず足を前に出すことだけに集中して、一歩一歩進んでいた。
「うわあっ! 危ない!! 待てっ!!」
焦ったような男の声と馬の鳴き声に顔を上げてみると、慄いて後ろ足で立つ芦毛の馬が視界に入った。
急に頭を上げたからかクラッとして視界が暗くなる。気がつけば倒れ込んでいて、誰かの腕の中にいるようだった。
温かい……それにすごくいい匂いだ。なんだろう胸の奥から込み上げるような、この焦燥感は————
ゆっくりと開いた視界に映ったのは。