捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

13話 減らない陳情書(国王視点)

     * * *



 ウィルバートがロザリアと離縁してから三ヶ月が経った頃、魔道具研究所からの陳情書が国王である私のもとに届いた。

 指導者が代わり反発が出るのは予想されることだが、その量が多すぎる。魔道具の開発に携わるのは、各国から集めてきた優秀な者たちばかりだ。研究者だけあって、魔道具にかける情熱は並々ならぬものがある。

「陛下。私もざっと目を通しましたが、こちらで訴えられているのは似たような内容ばかりでした。これらを改善しないと研究者たちが国から流出する危険があります」
「ふむ、研究内容の盗用、適正な報酬が支払われない、強制労働時間の見直しか……初めて聞く内容ばかりだな」

 この様な陳情は魔道具研究所を立ち上げてから聞いたことがなかった。ロザリアに一任していて問題なかったから気にもとめていなかった。

「ですが研究者の不満が募って離脱されれば大きな痛手になります。早急に対応が必要でございます」
「そうだな。ファンク男爵を呼べ」
「承知しました」

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