捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 開店から三ヶ月が経ち、魔道具屋ロザリーの売上は順調に伸びていった。これもアレスの販売戦略が的確だったおかげだ。
 オーダーメイドの受注も増えてきて、毎日忙しくしている。
 アレス曰く。

「お嬢様のお見送りのおかげでです。アレのおかげでいつも以上のパフォーマンスができました」

 だそうだ。よくわからないけど、結果的に大成功だったみたいだ。
 次も何かあれば見送りくらいしてあげようと思う。

「いらっしゃいませ。本日は何をお探しですか?」
「アレス様、オーダーで頼みたい魔道具があるんです。ロザリア様と話したいんだけどいいですか?」
「少々お待ちください。ロザリア様、今大丈夫でしょうか?」
「オーダーね? はい、もちろんですよ。どのようなものをご希望ですか?」

 最初の受付はアレスに頼んでいるけど、オーダーとなると私が直接聞かなければ受注できない。
 この日も番を喜ばせたい竜人の方が、奥様のために真剣に悩みながら心を込めた逸品を選んでいた。

 その真剣に悩む様子に、一途な想いを感じられ笑みがこぼれる。きっと素敵なご夫婦なのだろう。こんなにも愛されて奥様は幸せだなとしみじみ思っていた。

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